
【首都圏建設アスベスト訴訟】「早期解決に向けて努力するよう要望する」
建材メーカーに和解案を提示
最高裁から差戻しされていた建設アスベスト東京1陣訴訟が東京高裁で結審し、和解案が示されました。
昨年12月26日に和解協議期日が開かれ、裁判長は和解案の提案にあたり「被災者の多数がお亡くなりになっており、本和解案は早期全面解決を願って提案したものである。最終の事実審裁判所による和解案であることを踏まえて建材メーカーらも早期解決に向けて努力されるよう要望する」旨の発言がありました。
東京1陣原告団は1月18日に原告団総会を開き、東京高裁の和解案を受け入れることを確認しました。神奈川原告団も和解の実現に向けて支援します。また、1月31日には、東京2陣訴訟においても、和解案が提示され、東京1陣に続く結果となりました。
原告団、弁護団、事務局は東京1陣の和解案を受けて、2月10日にニチアス㈱と交渉を持ちました。原告団は「ただ1つのお願いです。原告の多くが亡くなり、苦しむ姿を見てきたはず。早期解決と謝罪を望みます」と訴え、ニチアス側は「細かい内容は言えないが、和解に向けて検討している」と回答がありました。
対象となる被災者、285人を抱える東京1陣の結果は全国に波及すると言われていますが、解体工や屋外工など補償の対象とならない仲間がまだ多くいます。全員救済を求める運動に協力をお願いします。
【金澤拓也通信員】
和解案の具体的な内容
以下の企業に対して、東京高裁が一審原告ら282人(被災者233人)への総額金40億2956万円の和解金支払いを命じた
●㈱エーアンドエーマテリアル
●太平洋セメント㈱
●ナイガイ㈱
●ニチアス㈱
●日東紡績㈱
●㈱ノザワ
●㈱エム・エム・ケイ
和解案の特徴
①すべての建材メーカーらに警告義務違反を認めた
②概ね10%のシェアを有する建材メーカーについては建材が現場に到達した事実を認めた
③建材メーカーの基本寄与度を40%から50%と認めた
④基本慰謝料額を建設アスベスト給付金と同一額を認めた

差戻審で入廷する東京1陣の仲間=2023年10月10日、東京高裁前